労使協定?労働協約?|内容やそれぞれの関係性を解説!!

会社で働く上でのルールや従業員全員に適用される労働条件が記載された「就業規則」の他にも、「労使協定」や「労働協約」などの用語を聞いたことはあるんじゃないでしょうか。今回はこれら労働者の労働条件に関係する用語の内容や関係性について解説します。

1 労使協定って何?

使用者と労働者が協定を結び、法律義務の「免除」や法律違反を「免罰」する!

例えば、「週40時間、1日8時間」が法定労働時間の事業所で、それを超える時間外労働は本来法律で禁止されています。しかし、突発的なトラブルが起こった時に残業せざるを得ないこともあるでしょう。また、労働者にとっても残業しないと業務に不都合が生じてしまう場合もあるでしょう。

そんな場合に、いわゆる「36協定」という時間外労働、休日労働に関する協定を使用者と労働者が締結することによって、法定労働時間を超えて労働させることが許容されます。

つまり、使用者と労働者が書面で約束事を結すぶことによって、本来なら労働基準法で義務付けられていることを「免除」したり、法律違反であることを「免罪」されます!

2 労使協定を締結するには?

労働者の過半数代表者の同意(+労働基準監督署へ届出)+就業規則へ記載!

◎労働者の過半数労働者の同意

労使協定を締結するには労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数代表者と「書面」により締結する必要があります。

☆補足 代表者の選出方法

過半数代表者は「管理監督者以外の者」から投票・挙手・話し合いなど民主的方法で選出する必要があり、使用者の意向に基づき選出された者は認められません。

◎就業規則へ記載

労使協定はあくまで義務を免除したり法律違反を免罪するものなので、労使協定を締結した内容を従業員に適用させるには就業規則に記載する必要があります。

◎内容によっては労働基準監督署へ提出

労使協定を締結する内容によっては労働基準監督署への届出が必要なものがあります。

☆補足 「協定書」と「協定届」について

労使協定の締結について、「協定書」と「協定届」というよく似た言葉が出てきます。「協定書」は使用者と労働者が実際に労使協定を締結する際に使用した書面のことで、「協定届」は協定書をもとに労働基準監督署に提出する届出書のことです。実際は、協定書と協定届が一体化されており、協定届に代表者が署名してそれをそのまま労働基準監督署へ提出するようになっています。

3 労働協約って何?

会社と労働組合が話し合って決めた労働条件!

労働協約は、使用者と労働組合が団体交渉を行い、話し合った結果締結された労働条件などの労使間のルールのことです。

労働協約は、賃金などの労働条件やその他のルールについて法律に違反しないものであれば「何を」「どのように」定めるかは「労使の合意」によって自由に定めることができます。

労働組合と使用者が話し合った結果締結されるものなので、基本的には労働協約の内容が適用されるのは当該労働組合の組合員のみとなります。

☆補足 一般的拘束力

労働協約は労働組合と使用者が締結するものなので、適用されるのは通常その労働組合の組合員です。しかし、工場や会社の支店などでその事業場の4分の3以上の労働者に労働協約が適用される場合は他の同種の労働者にも適用されることがあります。

労働協約の効力

労働協約の基準に違反する労働契約は無効+労働協約の基準になる!

労働協約に定める労働条件や労働者の待遇などの基準に違反する労働契約は、違反する部分が無効となり労働協約の基準が適用されます。また、労働契約に定めがない部分も労働協約の基準が適用されます。

4 労働協約を締結するには?

「書面」で労使双方が署名し、又は記名押印することで効果!

労働協約は「書面」で作成し、労使双方が署名し、又は記名押印することで効果が発生します。また、表題については「労働協約」とする必要はなく、覚書や確認書などでも大丈夫です。

また、「使用者」と「労働組合」の交渉により締結されますが、事前にその労働条件などの内容については労働組合内で組合大会を開催して決定するなど労働組合内でもしっかりと手続きを踏んで決定する必要があります。

有効期限は?

原則3年以内!

労働協約は3年間を超える期間を定めることができず、3年間を超える期間を定めた場合は3年間の有効期限を定めた労働協約とみなします。

また、有効期限を定めていない場合は労使の当事者が90日以上前に事前に予告することによって解約することができます。

5 就業規則や法律との関係性

法律>労働協約>就業規則>労働契約 ※例外:労使協定!

関係性は上記のようになります。雇用契約は就業規則の内容に満たない部分は就業規則の内容が適用され、就業規則の内容以上の労働協約があれば労働協約の基準が適用されます。当然ですが法律(労働基準法)に違反する内容は無効です。

しかし、例外的に労使協定を締結すれば本来なら法律違反でも罰則や義務を免れることができますが、労働者に適用させるには就業規則へ記載が必要です。

6 まとめ

今回は労使協定と労働協約の説明と就業規則や個々の労働契約との関係性をざっくり説明しました。

労働協約は労働者の労働条件や待遇をよくするために使用者と労働組合が話し合いを行い決定、労使協定は法律を遵守することで帰って業務に不都合が生じてしまうことを避けるために労使間で話し合って協定を結びます。

あくまで労働者が働きやすくするための制度なので、特に労使協定については「36協定」さえあれば「残業させてもいいんだ」という風に歪曲しないようにしましょう。