健康保険・厚生年金保険の被保険者喪失手続き!!|手続き方法・注意点!

1 どうやってに手続きするの?

「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」(以下資格喪失届)を原則5日以内に提出します。

該当箇所に必要事項を記載します。

要点を下記の表にまとめました。詳細は資格喪失届の裏面に記載があります。

2 喪失原因にはどんなのがあるの?

退職以外も喪失する場合がある!

①退職・契約変更による喪失

退職は退職日の「翌日」が喪失日です。

契約変更による喪失は、契約変更日の「当日」が喪失日ですが考え方は退職と同じです。社保加入要件に該当する最終日の「翌日」が契約変更日の当日になるからです。

②60歳以上の者の継続再雇用

60歳以上で退職した者が1日の空白もなく引き続き再雇用された場合は一度資格喪失して、再度資格を取得します。通常は1日の空白もない場合は資格喪失の必要はありませんが、このような取り扱いをすることで、再雇用後に報酬が低下した場合でも随時改定を待たずに低下した標準報酬月額で資格取得することができるのです。

この場合は資格喪失届と資格取得届を同時に提出します。

③死亡による喪失

死亡日の「翌日」が喪失日です。

④75歳到達/障害認定(健康保険)

健康保険は法律上は上限の年齢は定められていませんが、75歳に到達すると後期高齢者医療に該当する場合は資格喪失することになります。75歳の誕生日の「当日」に喪失します。

また、65歳以上75歳未満でも一定の障害に認定されると後期高齢者医療に該当するため、健康保険は喪失します。

これら後期高齢者医療に該当により喪失する場合も資格喪失届を提出します。

⑤70歳到達(厚生年金保険)

健康保険と異なり厚生年金保険は70歳に到達すると喪失します。

70歳に到達した「前日」に喪失し、以降は「70歳以上被用者」と呼ばれます。

70歳に到達することで、厚生年金保険は喪失しますが、引き続き事業所に使用される場合は「在職老齢年金」という年金額が調整される仕組みがあります。一定の要件に該当する場合は「資格喪失届」ではなく、下の「70歳到達届」を提出します。

一定の要件とは、70歳到達時の報酬額で算定した標準報酬月額(標準報酬月額相当額)が、70歳到達前の標準報酬月額と異なる場合に提出します。標準報酬月額が変わらない場合は提出の必要はありません。

⑥社会保障協定による喪失

ざっくりいうと外国の社会保障制度の対象になる場合です。

3 注意事項は?

◎提出先に注意!

提出先には注意が必要です。なぜなら、厚生年金保険は日本年金機構が事務処理を行なっているのですが、健康保険は運営している「保険者」に「全国健康保険協会(=協会けんぽ)」と「健康保険組合」があります。また「健康保険組合」は全国に1000組合以上存在しているため提出先が会社により異なるのです。

・健康保険の保険者が「協会けんぽ」

資格喪失届を「管轄の年金事務所(郵送の場合は管轄の事務センター)」へ提出します。厚生年金保険だけでなく健康保険についても処理されるので、一回の申請で済みます・

・健康保険の保険者が「健康保険組合」

 資格喪失届を「管轄の年金事務所(郵送の場合は管轄の事務センター)」と会社が加入している「健康保険組合」へそれぞれ提出します。また、健康保険組合へ提出するフォーマットは日本年金機構へ提出しているものと同じものを使える場合や加入している健康保険組合の独自のフォーマットがある場合もあるので、組合へ確認しましょう。

◎「健康保険被扶養者異動届」は提出する必要なし!

被保険者が資格喪失する際には、被扶養者不該当の届は提出の必要はありません。

また、下記の様に被扶養者の保険証も同時に保険者に返却しましょう。

◎保険証(高齢受給者証)を忘れずに返却!

会社の労務担当の方は従業員の退職時には忘れずに保険証(高齢受給者証)を回収して、保険者に返却しましょう。

4 まとめ

今回は健康保険・厚生年金保険の資格喪失について説明しました。

届出自体は難しいものではないですが、

・70歳到達の際は、一定の要件に該当する場合に資格喪失届ではなく「70歳到達届」を提出。

・75歳到達時の資格喪失届の提出。

・60歳の継続再雇用時の資格喪失届と資格取得届を提出。

など年齢よる喪失原因は健康保険と厚生年金保険で異なるので注意しましょう。

また、喪失後の誤使用を防ぐために保険証は退職時に忘れずに回収しましょう。