傷病手当金って?|支給要件は?いくらもらえるの?
急にケガや病気で働けなくなることは誰にでも起こる可能性があります。もしそうなった場合、生活費はどうしましょう。貯蓄が十分にあって不安がない方のほうが少ないのではないでしょうか。
健康保険には療養中の生活保障として「傷病手当金」という手当があります。今回はこの「傷病手当金」についてざっくり説明します!
1 支給要件は?
「療養中」+「労務に服することができない」+「継続した3日間の待期満了」で支給!
健康保険の被保険者(会社退職後も健康保険の被保険者資格を継続できる制度の任意継続被保険者は除く)が下記の要件を満たすと傷病手当金は支給されます。なお、被扶養者がケガや病気になっても「傷病手当金」の支給はありません。
余裕があったら、補足も読んでください!
療養中
健康保険で診療を受けることができるケガや病気で療養中のこと。
補足▶︎
・健康保険で診療を「受けることができる」ケガや病気での療養あればいいので、自費診療や自宅療養、病後の静養についても支給されます。
・美容整形など保険対象外のものには支給されません。
・資格取得前のケガや病気による療養でも支給されます。
労務に服することができない
被保険者が就労できない状態になっていること。
補足▶︎
下記が個別の状況の支給の可否などです。
◎支給になる場合
・休業中に家事をしているが、勤務先の業務については労務不能な場合
・休業が必要なケガや病気ではないが、診療所が遠く通院のため労務不能な場合
・現状は勤務しても差し支えないが、症状悪化の防止などで休業している場合
・一時的に軽い内職などの副業をしている、勤務先の業務については労務不能な場合 etc
◎支給されない場合
・半日出勤だが、ケガや病気になる前と同じ業務をしている場合
・勤務短縮せずに、ケガや病気になる前より軽い労働の業務をしている場合
◎ウイルスなどの病原体については下記の取り扱いがなされます。
・病原体保有者については「隔離収容」されて働けない場合→支給対象。
・伝染の恐れがある保菌者に事業主が休業を命じる→実際に症状がなくて労務不能と証明されなければ支給対象外。(原則、事業主が休業手当を支払います)
継続した3日間の待期満了
勤務していない日が三日間連続であれば「待期」を満たします。
補足▶︎
・待期中に休日や有給休暇で休んでいる日があっても、三日連続で休んでいれば待期を満たします。
・同一の傷病については一回待期を満たせばよく、復職後に再び同一の傷病で労務不能になっても再度の待期完了は必要ありません。
・就業時間中のケガなどで労務不能になった場合はその日も待期に含みます。就業時間後に労務不能になった場合は翌日から起算します。
・午後0時をまたいで勤務する場合は、暦日で労務不能になった日から起算します。
・例えば、療養の最初の期間に有給休暇を7日間取得した場合は、継続した3日間の休みがあるので待期は完成。支給については、8日目から始まります。
いろいろ補足事項を記載しましたが、ざっくり言えばケガや病気で三日以上休んだ場合に支給!!
2 いくら支給されるの?
ざっくり、1日あたりの支給額は「給与の1日あたりの金額」×「3分の2」が支給!!
傷病手当金の支給金額の説明をするにあたり、「標準報酬月額」という言葉が出てきます。
ざっくりいうと、保険料や手当の金額の計算を簡単にするための仮の報酬額のことです。
↓↓詳しくはこちら。
「傷病手当金の支給を始める日が含まれる月以前の12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額」÷30 →この金額を「3分の2」した額
ただし、被保険者資格を取得してから1年未満の場合は、①と②の低い額になります。
①「資格取得月から支給開始月までの各月の標準報酬月額を平均した額」÷30 →この金額を「3分の2」した額
②「30万円(※支給開始日がH31.3.31以前の場合は28万円」÷30 →この金額を「3分の2」した額
補足▶︎②の30万円は前年度9月30日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額
ふ〜ん??
つまり、
「だいたい1ヶ月あたりの給与を30で割った額、の3分の2」が1日あたりの支給額になりますよ。けれど、資格取得してから1年経っていない人は、②が最高限度になりますよ。
ざっくり言うとこんな感じです。
また、原則報酬を受けることができる期間は傷病手当金は支給されませんが、報酬の額が傷病手当金より少ない場合は差額が支給されます。その他にも出産手当金や年金などが支給される場合は傷病手当金の支給調整されます。
3 いつまで支給されるの?
通算して1年6ヶ月の間支給!!
傷病手当金を支給が開始された日から、通算して1年6ヶ月の期間まで支給されます。
補足▶︎
・「支給が開始された日」なので、上記で例に上げた、
>>例えば、療養の最初の期間に有給休暇を7日間取得した場合は、継続した3日間の休みがあるので待期は完成。支給については、8日目から始まります。
→この場合は8日目から通算して1年6ヶ月の間支給されます。
2022年1月1日より法改正!最長1年6ヶ月ではなく、「通算1年6ヶ月」になりました!
4 まとめ
傷病手当金について説明しました。出産手当金と一緒で給与額の全額が補償されるわけではないので、貯蓄や民間の保険でカバーする必要があります。また、傷病手当金や出産手当金については仕事を退職後も継続して受給できるケースがあるので、別の機会にご説明いたします。