出産手当金?出産育児一時金?|支給要件は?いくらもらえるの?

出産には様々な不安が付き纏います。身体の健康面だけではなく、休業中の生活費の不安や出産費用など金銭面の不安も非常に大きいです。健康保険にはそんな金銭面をサポートするために、産前産後期間の生活費を補償する「出産手当金」や出産費用を補償する「出産育児一時金」があります。今回は出産時の金銭的サポートについてざっくり説明します。

◎出産手当金

産前産後休業中の生活費を補償!!

出産手当金は出産の前後の産休期間である「産前産後休業」中に支給される手当です。

1 支給要件は?

原則、出産日以前42日、後56日の間、仕事をしていない日に支給!!

出産の日(出産の日が出産予定日後の時は、出産予定日)以前42日※から出産の日後56日までの間に仕事をしていなかった期間に支給されます。

※双子以上の出産の場合は出産の日以前98日。

追記①▶︎出産が遅れた場合、遅れた日数分についても支給されます。

追記②▶︎産前産後期間中に通常公休日である日においても、仕事についていなければ支給されます。

追記③▶︎被扶養者の出産ついては「出産手当金」の支給はありません。

2 支給額は?

ざっくり、1日あたりの支給額は「給与の1日あたりの金額」×「3分の2」が支給!!

支給額の説明をするにあたり、「標準報酬月額」という言葉が出てきます。

ざっくりいうと保険料や手当の金額の計算を簡単にするための仮の報酬額のことです。

↓↓詳しくはこちら。

標準報酬月額ってなに?①|どんな時につかうの?どうやって決まるの?

社会保険の保険料や健康保険の傷病手当金などの手当、厚生年金保険の年金給付にいたるまで、何かと関係してくる「標準報酬月額」。 でも、この「標準報酬月額」とはいった…

出産手当金の1日あたりの支給額は傷病手当金の1日あたりの支給額は以下になります。

出産手当金の支給を始める日が含まれる月以前の12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額」÷30  →この金額を「3分の2」した額

ただし、被保険者資格を取得してから1年未満の場合は、①と②の低い額になります。

①「資格取得月から支給開始月までの各月の標準報酬月額を平均した額」÷30  →この金額を「3分の2」した額

②「30万円(※支給開始日がH31.3.31以前の場合は28万円」÷30  →この金額を「3分の2」した額

補足▶︎②の30万円は前年度9月30日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額

???。

つまり、

「だいたい1ヶ月あたりの給与を30で割った額、の3分の2」が1日あたりの支給額になりますよ。けれど、資格取得してから1年経っていない人は、②が最高限度になりますよ。

ざっくり言うとこんな感じです。

また、原則報酬を受けることができる期間は出産手当金は支給されませんが、報酬の額が出産手当金より少ない場合は差額が支給されます。

◎出産育児一時金

出産費用の負担を軽減して経済的サポート!!

1 支給額は?

42万円!!

出産費用の負担軽減のため、被保険者が出産したときに出産育児一時金が支給されます。

一児につき、42万円※が支給され、双子以上の出産は子供の数に応じて支給されます。

※一定の要件を満たしていない場合は、40.4万円(2021年6月現在)

補足①▶︎妊娠85日以上の分娩であれば、正常分娩、早産や死産、中絶等を問わず支給されます。

補足②▶︎被扶養者の出産についても、「家族出産育児一時金」が被保険者に支給されます。金額は出産育児一時金と同額です。

2 申請方法は?

病院経由で一時的な負担も軽減!!

出産育児一時金の申請は病院を経由することも、病院を経由せずに会社や個人で申請することも可能です。

例えば、出産費用が45万円。出産育児一時金が42万円の場合。

・病院経由で申請 病院窓口で3万円支払い。

・会社や個人で申請 病院窓口で45万円払って、あとから42万円返ってくる。

このように、最終的な費用は変わりませんが、病院経由の方が一時的な負担額が少なく済みます。出産育児一時金よりも出産費用が少なかった場合は申請によって差額も支給されます。また、クレジットカード払いでポイントが貯まるような場合は先に窓口で支払う方もいます。

補足▶会社や個人で申請して、出産育児一時金の受取人を病院にして窓口負担を軽減する方法もあります。

◎ まとめ

今回は出産費用や休業時の生活費のサポートについてざっくり説明しました。特に出産手当金については、休業前の報酬額が全額補償されるわけではありません。健康保険の給付というセーフティネットだけではなく、貯蓄や民間の保険も活用しつつ人生の一大イベントに備えましょう。