育児休業給付金とは?|支給要件は?いくらもらえるの?
育児のために「退職」するのではなく「休業」という選択肢を選んだ場合に給付金を支給することにより、雇用を継続して職場復帰を支援する「育児休業給付金」という制度があります。また、昨今ではイクメンという言葉が一時期流行しましたが、男性の働き方についても大いに関係のある制度です。
今回はそんな「育児休業給付金」についてざっくり説明します。
1 支給要件は?
「休業前に12ヶ月以上勤務」+「原則1歳未満の子を養育」+休業後も「雇用継続予定」!!
要件①育児休業の開始前2年間に、11日※以上勤務した月が12ヶ月あること。
ただし、上記を満たさない場合は「産前休業」開始前2年間に、11日※以上勤務した月が12ヶ月あること。(法改正!!)
補足①▶︎11日以上の月が12ヶ月ない場合は、勤務時間など賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上ある月は1ヶ月とカウント。
補足②▶︎疾病、負傷などにより30日以上働くことができなかった場合、その日数を上記2年間に加算。最大4年間の内に11日以上勤務した月が12ヶ月あれば支給。
要件②原則1歳※に満たない子を養育するために休業していること。
補足①▶︎産前産後休業を取得した場合。
図の通り、あくまで「育児休業期間」が支給の対象です。
産前産後期間については健康保険に加入している場合は健康保険から「出産手当金」が支給されます。
補足②▶︎支給の対象になる子の年齢の上限は、下記の状況により変わります。
◯1歳2ヶ月
・両親がともに育児休業を取得する場合(パパママ育休プラスを活用する場合)
→給付金が支給されるのは子が1歳2ヶ月になる前日までの期間のうち最大1年間
※パパママ育休プラスについては詳しく後述します。
◯1歳6ヶ月もしくは2歳
・保育所の理由を希望して申し込みをしているが、実施が行われないとき。
・配偶者が子が1歳以降に養育する予定だったが、一定の理由でこの養育を行うことが困難な場合。
要件③育児休業後も雇用の継続が予定されていること。
また、期間を定めて雇用される場合は下記の要件も満たす必要があります。
要件④休業前に在籍している会社に雇用されていた期間が引き続き1年以上
要件⑤養育する子が1歳6ヶ月(2歳)になるまでに、労働契約が満了することが明らかでないもの
補足▶︎つまり1歳6ヶ月(2歳)までに契約終了予定なら対象外。
2 パパママ育休プラスってなに?
男性の育休取得促進!!休業の再度取得や期間延長!!
両親がともに育児休業を取得する場合は、休業可能な期間が1歳2ヶ月まで延長される「パパママ育休プラス」という制度があります。「育児休業給付金」はこの「パパママ育休プラス」によって延長された期間にも支給されます。また、「育児休業期間」が2ヶ月延長されても、一人当たりの受給できる期間は最大1年間です。
1歳から1歳2ヶ月の間に育児休業を取得するための要件は、
要件①配偶者が1歳に達する前に育児休業を取得していること。
要件②本人の休業開始日が、子の1歳に達する日の翌日後でないこと。
要件③本人の開始予定日が、配偶者の休業開始予定日より前でないこと。
取得パターンの例は以下の通りです。①②③の図だと、要件の「本人」=「パパ」「配偶者」=「ママ」。つまり、1歳から1歳2ヶ月の間に育児休暇を取得する方が「本人」です。
パターン① 同時に取得。
パターン② 切れ目なく。
パターン③ 切れ目あり。
※図の場合、パパの取得の開始日が1歳に達する日の翌日後だと不可(要件②を満たさない)
NGパターン
下の図だと、要件の言うところの、1歳2ヶ月まで取得する「ママ」が「本人」に該当しますが、休業開始日が配偶者の「パパ」より前になっています。(要件③を満たさない)
3 何ヶ月ごとに支給されるの?
育休開始から1ヶ月ごとに区切って2ヶ月分ごとに支給!!
育児休業の支給単位期間は、育児休業開始日から1ヶ月ごとに区切った各期間です。通常、会社が2期間(2ヶ月分)ごとに1回支給申請をします。※1ヶ月ごとの請求も可能。
また、育児休業中に臨時的•一時的に労働した場合には、支給単位期間の1ヶ月のうち、就業している日数が「10日以下」、もしくは10日を超えていても就業している時間が「80時間以下」の場合に支給されます。
※あくまで休業期間中に臨時的•一時的に働いた場合なので、正式に職場復帰する場合は支給終了になります。
4 支給額は?
半年までは「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」!!
育児休業給付金の支給額は下記になります。
◯休業開始日から180日目まで
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
◯180日目から
休業開始時賃金日額×支給日数×50%
補足①▶︎用語説明
「休業開始時賃金日額」
休業を開始した日を離職日とみなして、求職者給付の基本手当(いわゆる失業給付)の算出に使う「賃金日額」に相当する金額。
↓↓詳しくはこちら。
「支給日数」
1支給単位期間あたり、原則30日分。最後の支給単位期間についてはその期間の日数。
また、補足②で下記の「休業開始時賃金月額」という用語を使います。ざっくり言うと、休業前の1ヶ月当たりの賃金月額のことです。
「休業開始時賃金月額」=「休業開始時賃金日額」×「支給日数」
補足②▶︎賃金との調整
時短勤務で賃金が支給された場合、賃金額によって調整が行われます。
◯休業開始日から180日目まで
「支給された賃金額」が「休業開始時賃金月額」の13%以下
→減額なし。
「支給された賃金額」が「休業開始時賃金月額」の13%を超えて80%未満
→「休業開始時賃金月額の80%相当額」と「支給された賃金額」との差額が支給。
「支給された賃金額」が「休業開始時賃金月額」の80%以上
→支給なし。
◯休業開始日から181日目から
「支給された賃金額」が「休業開始時賃金月額」の30%以下
→減額なし。
「支給された賃金額」が「休業開始時賃金月額」の30%を超えて80%未満
→「休業開始時賃金月額の80%相当額」と「支給された賃金額」との差額が支給。
「支給された賃金額」が「休業開始時賃金月額」の80%以上
→支給なし。
つまり、「給付金の額」+「賃金額」<「休業開始時賃金月額」の80%!!
5 まとめ
このように、「育児休業給付金」は「職場復帰」予定の人の休業中の生活費をサポートして、雇用維持を促進するための給付金です。女性労働者だけでなく、男性労働者の休業にも対応しています。今回説明した内容以外でも、育児休業制度では「産後休業」中にママをサポートするため一度休業したパパが再度育児休業を取得できる「パパ休暇」の制度もあります。まだ男性が育児休業を取得しにくい会社もありますが、世の中の価値観は確実に変化しています。それぞれのライフスタイル、キャリアビジョンの実現のため、夫婦ともにおもいやりの心を持って有効に活用しましょう。