失業保険ってどんなの?|受給するには?すぐにもらえるの?

長い職業生活のなかで、転職活動することは今やめずらしいことではありません。しかし、会社を退職したあとにすぐに再就職先が決まるとは限りません。

そんな時に生活費を支援してくれるのが、世間では失業保険とも言われる、雇用保険の求職者給付のなかの「基本手当」です。いろいろ例外や特例も多いですが、今回は基本手当についてざっくり説明します。

1 基本手当の受給要件は?

熱心に求職活動をすること! + 原則、2年間の「算定対象期間」のなかに「被保険者期間」が12ヶ月あれば支給!

◯失業の状態

「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない」状態=失業の状態である必要があります。

◯就職への努力

基本手当を受給するには「誠実かつ熱心」に求職活動を行うことが必要です。

つまり、離職しただけでは受給できず、ハローワークへ求職の申し込みをして積極的に求職活動をする必要があります!

◯受給要件

【原則】 離職の日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が12ヶ月以上であったときに支給。

【特例 倒産・解雇、今まで契約更新されていたのに急に更新されなかったなど特定の理由がある場合は、離職の日以前1年間(算定対象期間)に被保険者期間が6ヶ月以上であったときに支給。

※上記の離職の日以前2年間や1年間という算定対象期間は疾病・負傷により賃金を受けられない期間が「引き続き30日以上」ある場合は、最大4年間まで延長。

「被保険者期間」とは?

□考え方□

①離職の日から遡って1ヶ月ごとに区切る。
②区切った1ヶ月の間に「賃金の支払いの基礎となった日(賃金支払基礎日数)が11日以上ある月」、または「賃金支払基礎日数が11日に満たない場合は、勤務時間など賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上である月」を「被保険者期間」を1ヶ月とカウント。
※実際に労働した日ではなく賃金の基礎となった日なので、有給休暇を取った日も含む。
※夜勤などで日を跨いで8時間を超えて勤務した場合は一勤務でも賃金支払基礎日数を2日カウント。
③1ヶ月ごとに区切った期間の日数が1ヶ月に満たない場合、15日以上のときは、「賃金支払基礎日数」が11日以上で「被保険者期間」を0.5ヶ月とカウント。

つまり、原則は「働いた日+有給の休日」が11日以上の月 and 「働いた日+有給の休日」の時間換算が80時間の月が2年間に12ヶ月以上あれば支給!!

2 受給手続きはどうやるの?

受給手続きの流れ

①離職後、離職票を持ってハローワークへ!

離職後、自分の住所を管轄しているハローワークへ行き、「求職の申込み」をして、雇用保険被保険者離職票を提出します。※前職以前の離職票を持っているときは全て提出。

離職票は勤務していた会社が発行手続きを行い、離職票-1・2があります。離職票-2には支給要件の説明で記載した「被保険者期間」を判断するために「算定対象期間」を1ヶ月ごとに区切った際の「賃金支払基礎日数」や後述する基本手当日額を算出するために賃金額が記載されています。

②受給資格決定!

上記①によって、受給資格の決定が行われたあとに、雇用保険受給説明会に参加すると「雇用保険受給資格者証」が交付され、「失業の認定日」が指定されます。

補足▶︎雇用保険受給説明会については、状況によりオンライン開催の場合あります。

③待期期間満了!!

求職の申し込みをしてから失業している日が通算して7日間に満たない場合は基本手当は支給されません。この期間を「待期期間」といいます。基本手当を受給するためにはこの待機期間を満了する必要があります。

④再就職活動を行い、「失業の認定日」が来たら再びハローワークへ!

「失業の認定日」にハローワークへ行き、「失業認定申告書」に受給資格者証を添えて提出。「失業の認定」を受けます。

以後、指定された「失業の認定日」にハローワークへ行き、都度認定を受けます。

失業の認定について

・前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間について失業の認定を受けます。

・最初にハローワークへ行った日から4週間に一回、認定日の直前の28日の各日について失業の認定を行います。※公共職業訓練を受ける場合は1ヶ月に一回。

・原則、対象の期間内に2回以上の一定の求職活動をしていれば認定。

※求職活動の回数については例外あり。また、認定日にハローワークに行けない場合の認定日の変更や証明書による認定などの例外処置もあり。

このように、認定日にハローワークに行き、認定を受けると、その直前28日のうち失業していたと認められた日について、その日数分の基本手当が支給されます。最初の認定については7日間の待機期間があるので、最大で21日分の支給されます。

3 すぐにもらえるの?

離職理由などによる「給付制限」あり!

・離職理由による給付制限

自己都合退職や解雇された理由が自分自身に重大な原因がある場合は「待期期間」満了後、1ヶ月以上3ヶ月以内の間で指定された期間は支給されません。

補足▶︎2020年10月1日から自己都合退職については、5年間のうち2回までは「2カ月」、3回以降は「3カ月」とされました。

・就職拒否などによる給付制限

正当な理由なくハローワークが紹介した職業に就くことや公共職業訓練を受けることを拒んだ場合は、その拒んだ日から1ヶ月間は支給されません。

・職業指導を拒んだことによる給付制限

ハローワークが行う再就職のために必要な職業指導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から1ヶ月を超えない範囲で支給されません。

また、不正の行為によって支給を受けたり受けようとしたときは、やむを得ない理由がある場合を除き支給されません。

4 一日いくらもらえるの?

基本手当日額=賃金日額×80%〜45%!

①賃金日額

・原則 「算定対象期間」のなかで「被保険者期間」としてカウントされた最後の6ヶ月間の賃金総額÷180

臨時に支払われた賃金、年二回のボーナスなどの3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は除きます。

・日給・時給等の最低保障額など

賃金が日給・時給もしくは出来高払い制などで支給される場合は、

「最後の6ヶ月間の賃金総額÷最後の6ヶ月間の労働日数×70%」が最低保障されます。

その他、一定の家族を介護・育児するために休業や短縮勤務をしていた被保険者が倒産・解雇などで離職した場合は「原則の金額」か「休業や勤務短縮前に支払われた賃金で算出した額」のどちらか高い額を賃金日額とする特例もあります。

②最低・最高限度額

上記で算出した賃金日額には最低限度額と最低限度額があります。毎年変更がありますが、2021年現在では最低限度額はざっくり2500円ぐらい。最高限度額は年齢により違いますが、ざっくり13000円〜17000円ぐらいで年齢によって設定されています。

③給付率

基本手当の算出には「賃金日額」に給付率をかけた金額になります。

給付率 50%〜80%(60歳以上65歳未満は45%〜80%)

賃金日額が高いと給付率は低く、賃金日額が低くなると給付率は上がっていきマックス80%。

ざっくりではなく詳しい数字も気になる方はこちらを!!(2021年3月現在。厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)←最新のものは厚生労働省HPへ!!

このように、①で算出した賃金日額に、②の最低・最高限度額を適用して、さらに③の給付率をかけて「基本日額」を算出します。

基本手当を受給中にバイトなどで収入を得ると支給額が調整される!

下記のパターンで調整されます。「控除額」=1312円 ※2020年8月現在

①「基本手当日額」+「収入額」ー「控除額」<「賃金日額の80%」の場合

減額されずに支給!!

②「基本手当日額」+「収入額」ー「控除額」>「賃金日額の80%」の場合

減額、もしくは支給なし!!

5 何日もらえるの?

「何年働いてたか」、「何歳か」、「何で辞めたか」、その者が「就職困難者か」で1年間に何日分もらえるかが変わる!!

基本手当が支給される日数(所定給付日数)は、「算定基礎期間」、「年齢」、「離職理由」、「就職困難者かどうか」によって決定します。

◯算定基礎期間=雇用保険に加入して何年働いてたか!

「算定基礎期間」とは「雇用保険の被保険者として雇用された期間」のことです。例えば雇用保険に加入して3年間働けば、3年間が「算定基礎期間」となります。支給要件の時に説明した「算定対象期間」や「被保険者期間」と混同しないようにしましょう。

この「算定基礎期間」は、例えば今回「A社」を離職して基本手当を支給しようとしている場合、

①「A社」の前に、別の「B社」でも「雇用保険の被保険者として雇用された期間」がある。

②「B社」を離職して、「A社」に就職するまで1年以内。

③「B社」離職時に基本手当などを受給していない。

上記①②③を満たす場合は「A社」と「B社」の「雇用保険の被保険者として雇用された期間」を通算した期間が「算定基礎期間」となります。

◯所定給付日数=受給期間内に何日分の基本手当が給付されるか!

具体的な所定給付日数はこちらです。

・就職困難者=就職が困難な障碍者の方など。

・特定受給資格者など=倒産や解雇、やむを得ない理由で離職した方など。

◯受給期間=原則、離職の日の翌日から1年!

基本手当を受給できる期間は「原則1年」。上の表で、330日の場合は「1年+60日」、360日の場合は「1年+60日」。※受給期間の延長など例外が多数あり。


つまり、「受給期間」の間に「所定給付日数」を上限に「失業の認定」がされた日数分の基本手当が支給されます!!

6 まとめ

転職活動を行い、自分のキャリアビジョンや適正に見合った企業を見つけるのは簡単なことではありません。ましてや生計が苦しい状況では焦りが先行して、転職活動がうまくいかないこともあります。そんなときに生活をサポートしてくれるのが基本手当です。基本手当を受給するために必要なことの1つに、離職する会社に「離職票」を発行してもらうことがあります。なんとなく頼みづらいと感じる方も人間関係はさまざまなので当然あると思います。しかし、自分が今まで会社でがんばって働いた証でもあるので、次の会社で活躍するためにもお願いして発行してもらいましょう。

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